持続可能性の見える化に関するグローバルな最新動向 ワークショップ
〜欧州におけるLCAの政策活用と日本への影響〜

趣旨

   欧州では「グリーン製品の単一市場」構築のために、製品のグリーンな度合を定量的に評価する一貫したEPD(Environmental Product Declaration:製品環境宣言)システムが必要と考えられており、「環境フットプリント」のパイロットテストが進められています。一方で、このような政策を欧州単独で進めた時、他の市場に不利益を与えていく可能性があり、その基礎となるライフサイクルを通した製品の評価を一定の精度で公平に実施していく取り組みは、地域ごとの状況を反映したプロセスデータが必要となります。これは日本に限らず、ある国や地域が欧州の政策に対応する場合にも、そして、逆に同様な政策を欧州以外の地域が実施する場合においても浮上してくる課題であり、その解決へ向けて、世界のインベントリデータベースの相互互換性を向上させる必要性が指摘され、UNEPが推進するGLAD(※1)イニシアチブのような形で顕在化してきています。

  更に欧州では、より分かり易いコンセプトが必要であるという議論を踏まえ、2015年末に「サーキュラー・エコノミー・パッケージ」が採択されました。この政策は「ループを閉じる」という強力なビジョンを掲げ、限られた資源を有効活用する循環型社会の構築を目指すものです。しかし、「サーキュラー・エコノミー」のコンセプトに基づいて提案される解決策の全てが総合的な環境負荷の低減に有効であるとは限らず、「サーキュラー・エコノミー」と「環境フットプリント」は相互補完的な役割を果たしながら、持続可能な成長を下支えする、グリーンな製品・グリーンなサービスの普及を促していくことになるでしょう。

  PRe Consultants社は、世界で最も広く使われるLCAソフトウエアSimaProの供給者という立場にあり、欧州環境フットプリント試行プロジェクトのヘルプデスクの一翼を担うとともに、世界中のイニシアチブの動向に関わっており、Mark Goedkoop氏には俯瞰した観点からご発表をいただきます。また、産総研の田原聖骼≠ヘグローバルな動向を睨みつつ、日本のデータベースの開発の方向性のあり方という観点からご発表をいただきます。今回のワークショップでは、この両面から理解が進むことが期待されます。

  第1部においては、前提となるLCAに関わるツール類に実際に触れていただいてから、プレゼンテーションを聞いていただくことで、第2部の理解度が向上する効果を狙い、SimaProとIDEA v2(※2) の入門講習会を午前のメニューとして加えさせていただきました。

  昼食会では、ここ25年間、持続可能性の見える化に携わり続けた講演者のMark Goedkoop氏を交えて、ざっくばらんな議論ができる場を準備しておりますので、奮ってご参加を頂けましたら幸いです。


  ※1
GLAD(Global LCA Data Access)は、現存する世界各地のインベントリデータベースの相互互換性を進める取り組みで、多様なLCIデータセットを共通のインターフェイス上で検索・流通させることを目標にして設計と開発が進められています。
  ※2
SimaProは1990年のリリース以来、世界80ヶ国以上で導入され、世界で最も広く使用されているLCAソフトウェアです。IDEA (Inventory Database for Environmental Analysis) は産業技術総合研究所と産業環境管理協会が共同で開発した主に日本の産業を対象としたLCIデータベースで、2016年8月に最新版であるIDEA v2.1が公開されました。

プログラム(仮)

時間 メニュー
9:30 - 10:00 受付
10:00 - 10:05 開会挨拶
第1部
10:05 - 12:30
SimaPro / IDEA v2実践講習会
12:30 - 14:00
昼食会
第2部
14:00 - 15:30
欧州におけるLCAの政策活用と世界への展開
〜もはやLCAなしでは語れない〜

(随時通訳あり)
PRe Consultants 創業者 Mark Goedkoop氏
15:30 - 16:00
LCAの国際動向に対するIDEAの開発状況
(国研)産業技術総合研究所 安全科学研究部門 社会とLCA研究グループ 研究グループ長
田原聖骼
16:00 - 16:20
SimaPro / IDEA v2 / PSILCA / SHDB等のご紹介
TCO2株式会社 コンサルティングマネージャー 牧野直樹
16:20 - 16:30
閉会挨拶
TCO2株式会社 代表取締役 正畠宏一
16:30 - 16:45
各種相談受付

プログラム内容は予告なく変更されることがあります


開催要領

主催者 TCO2株式会社
日時 2016年10月19日(水)10:00 - 16:45
場所 中央大学 駿河台記念館 会議室 570(東京 お茶の水)
    アクセスマップ >>
参加費用 第1部及び昼食会
SimaProユーザーは無料(有効なサービス契約を持つ1ライセンスあたり1名を無料とします。)
それ以外の方は 3,000円
第2部以降のみ 無料
定員 35名
お申込み方法 * ご参加には事前のお申込みが必要となります
* 10分以内に確認メールが届かない場合には再度お申込みください
その他 * 英語の講演は随時通訳されます
* 定員を超えた場合には、人数の調整をお願いすることがあります
* ご来場の際には名刺を1枚ご用意ください
* プログラムの内容については予告なく変更することがあります
* 第1部にご参加の方はノートパソコンをお持ちください
* 第2部だけが定員に達した場合、第1部にも参加される方を優先することがありますので
  あらかじめご了承ください
お問い合わせ TCO2株式会社 東京本社
電話:03-6272-6814
メール:LCA@tco2.com

近日開催イベントのご案内

日時 会場 イベント名
平成28年10月3日(月)
14:30 - 16:30
京都テルサ(京都府民総合交流プラザ)
2階 東館 第1セミナー室
持続可能なパーム製品を確立するための今後の課題
第3回LCAフードサプライチェーン・アジア国際ワークショップ

2016年10月7日(金)
14:00 - 16:00
中央大学 駿河台記念館 会議室 570
パーム椰子バイオマスのエネルギー利用の展望と今後の課題